穴があったら踊りたい

おさかなさんと彼の平凡で特別な日々です。そんな日々をドキュメンタリー映像にしようと目論んでいます。

「優しくできなかったらごめん」の優しさ

上着がうまいこと着れなくて「んんっ〜〜!」と唸っている。

部屋が荒れてることを指摘したら即、不貞腐れた。

 

 

出かけようとした矢先に不穏な空気が漂う・・。

 

 

彼は基本的に明るくてお調子者だ。

すぐにイライラするほど神経質でもなく、

どちらかというととても大らかな方だと思う。

 

 

でも、薬が切れかけの時の彼は、

身体面だけでなく、メンタルの方もしんどくなって、

一気に心の余裕がなくなるのだそう。

 

 

 

彼の場合、薬が効いている時は比較的自由に動き回る。

外出時は基本的に車椅子で移動するけれど、

家の中では歩いたり走ったりもできるし、

料理もダンスもできる。

絵を書いたり、ゲームだってできる。

多分彼は元々手先も器用なんじゃないかなと思っている。

 

 

 

でも薬が切れ始めると、

みるみるうちに全身がこわばって、

歩くどころか、横になっているのさえしんどくなってくる。

たまに究極に薬が切れると、呼吸すら苦しそう。。。

 

 

 

身体が思うように動かないってどんな気持ちだろう。

 

 

 

私は小さい頃からダンスをしていて、

身体を思いのまま動かすことを目指してきた。

その中でうまくいかないことや、

どうしてもできないポジションやテクニックがでてくることもあった。

 

 

思い描いたように身体が動かないことは、なかなかのストレスだ。

私はそのストレスに耐えかねて、

必死に練習をしてなんとか習得しようとするタイプ。

思い通りにできないのが嫌で嫌で仕方がないのだ。

ただ、どんなに練習してもできないこともあって、

そういう時は酷く挫折感を味わう。

 

 

 

ダンスの振付けができないだけでもとんでもなくストレスなのに、

日常生活に必要な動作が思い通りにならなかったら

一体どれだけストレスフルだろう。

 

 

 

 

足が前に出ない。

手がうまく袖を通らない。

やろうと思った時に片付けられない。

ただ体勢を保持するためだけに、全てのエネルギーが消費されていく。

 

 

 

思い通りにならないことへの耐性がめちゃくちゃ低い私には、

考えただけでも発狂しそうな状態だ。

 

 

 

彼は薬が切れて身体が思い通りに動かない時、

わかりやすくイライラしている。

普段だったら気にしないようなことも、

「今それ言わないで」って嫌そうに言われる。

 

 

 

でも彼はそれだけで終わらない。

 

 

「今ちょっとイライラしてる」

「余裕ないからキツいこと言っちゃうかも」

「優しくできなかったらごめん」

 

 

と言ってきてくれる。

 

 

 

 

 

 

 

全然いいよ!!!!

 

 

と言えるのは私側に余裕がある時だけだけれど、

イライラをただ当たり散らして終わるんじゃなくて、

今の自分の精神状態を把握した上で、

起こりうるリスクについて事前に共有してもらっているだけで、

例え何かイザコザがあったとしても

「あ、今、余裕ないからかな。あんまり気にしないでおこー。」

ってできるのですごーくありがたいことなのです。

 

 

まぁ、私側にも余裕がない時はもれなく衝突してしまうので、

なるべくそういう時は会わないようにしたり、

一緒にいても、そっとしておく感じになります。

 

 

私には彼のしんどさを完全に理解することはできないし、

常にそれを優しさで包み込むことも難しい。

けど、自分が余裕なくなる程にしんどい時に、

相手に嫌な思いをさせないように少しでも配慮してくれるって

結構凄いことだと思うんですよね。

優しくできないはずなのに、優しいじゃないか!?!?

 

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全然余裕がない彼(彼作)

 

だから彼なりにしんどさを伝えてきてくれた時には

私側でもできる最大限の広い心で受け止めたいなと思っています。

私がメンタルやられてる時に、彼がそうしてくれているようにね。

 

 

薬を貼り替えてちょっと仮眠とったら少し元気になったらしく、

ご機嫌になり、彼は絶賛ドラクエ中。

今夜は喧嘩せず仲良く過ごせるかな〜〜?