「やりたくない苦手」を見極めること
彼はお金の管理について最近頑張っている。
というのも元々彼はお金の管理への苦手意識がとても強い。
今後のために二人で目標を持って貯金しよう!と言っていたのですが、
これまではなんだかんだ成り行きでやりくりしてきた彼なので、
そもそもどのくらいのお金が何にどのくらい使われているのかがわからない。
そうするとどのくらいを貯金に回せるのかの目安が持てない。
漠然と貯金すると言ってもなかなか難しいので、
まずは家計簿をつけてみて、自分の収支を把握しようという段階。
なるべく簡単にできるように、手書きではなくてアプリを提案。
レシートを写真でとっていくだけという作戦に出ました。
しかし、レシートが日に日に溜まっている彼・・・。
「今日はドラクエやる前にレシート整理ね!」
私の声かけに彼は納得してレシート整理に取り掛かります。
①溜まったレシートを取り出す
②日付順に並べる
③専用のファイルにレシートを貼り付ける
④アプリで読み取る
この工程で、まず①の取り出すハードルは
私からの若干の圧で乗り越えた様子・・笑
そして②の並べる作業もなんとか頑張ったのですが、
③のタイミングでレシートがうまく貼り付けられず、
②で並べたレシートが全部ぐちゃぐちゃになってしまったのです・・😱
彼の顔が、歪んでいる・・・。
彼は普段あまり怒ったりイライラしたりするタイプではないのですが、
明らかに表情がやばい。(今にも爆発しそう)
「手伝おうか・・・?」
恐る恐る声をかけると、彼はすごく渋い顔のまま
「手伝って〜・・」と。
私が②並べ替え、③貼り付ける作業を代行して、
④のアプリに取り込むのを彼がやることに。
二人で協力することでなんとか全て取り込むことができたのですが、
終わってからも彼は何やら不機嫌。
布団に潜って拗ねています。
よくよく話を聞いてみると、
彼が嫌だったのは、レシートがうまく整理できなかったこと自体ではなく、
前に勤めていた会社での嫌な出来事を思い出したからとのこと。
書類の整理を任されていた当時、
自分が何時間もかけてやった作業を、
他の人がWチェックという名の下で全てやり直して、
しかもそれが15分くらいで終わるという現実を目の当たりにしたと。
彼は手先が不器用なタイプではないと思うのですが、
症状が出ている時はうまく動きの制御ができないことがあります。
また薬が効きすぎていると頭の中が散らかってしまうらしく、
細かい作業に長時間集中し続けることが難しくなります。
そうすると書類の整理をしていても、
物理的に並べ替えるのが難しかったり、
並べ替えたつもりでも気が散ってしまうとミスが出たりして、
結局他の人があっという間にやり直してしまう。
今回のレシート整理も、苦手な作業でも頑張ってやったのを
自分でぐちゃぐちゃにしてしまった挙句、
私があっという間にやり直してしまって、
自分が必死に頑張った時間は一体なんだったんだろうと
当時の自分と重なってしんどくなってしまったみたい。
困っている彼に「手伝おうか?」と声をかけて、
彼が「手伝って」と言ってくれたのは嬉しかったのですが、
私が手伝うことによって彼の劣等感や苦手意識をさらに刺激してしまった。
もちろん、彼はこんなことで拗ねていたくないと思っているし、
自分で「手伝って」と言ったことも自覚しているから、
私のことを責めようとは思っていない。
でも、嫌な気持ちになったのは、本当のこと。
そしてそれはまだ癒えていない古傷が原因だった。
自分が何時間もかけて頑張ったことが、
誰かに数分で修正されてしまう。
もし私が同じ立場だったら、
「だったら最初からあなたがやってよ」って思っちゃうと思う。
「じゃあなんで私にやらせたよ?」って思っちゃうと思う。
自分のできなさを思い知らされるだけの作業なんて、
誰だってやりたくないよな。
でも今回の件で、彼は不貞腐れて終わったわけではない。
レシート並べ替え&貼り付けはとても苦手であることを再認識したので、
ヘルパーさんに協力をしてもらうことを自分で決めた。
そもそも自分でやる必要のないことや、
自分でできるようになりたい!と強く思っていることでなければ、
最初から得意な人に任せればいいのだ。
結果的に求めていた成果が得られればいいじゃないか。
それは彼がパーキンソン病だからではなくて、誰だって同じこと。
逆にいうと私は気持ちの切り替えがとっても苦手。
苦手なのを自覚しているので、
最初から何がなんでもすぐに切り替えるぞ!という目標はなくて、
気持ちを上手に受け止めてくれる彼に頼ることにしている。
お皿を洗うのは私の方が得意だから、私が担当。
イラストを描くのは彼の方が得意だから、彼が担当。
苦手なものはさっさと誰かに上手に頼って、
得意なものでどんどん自分を生かしていく。
「やりたい!」と思う苦手を頑張ることと、
「やりたくない!」と思う苦手を無理してやることはきっと違う。
前者は誰かの手を借りながら練習して、
後者はなるべく誰かを頼る。
こうして支え合える誰かがいるということも当たり前じゃない。
支えてくれる人たちが周りにいることに感謝しつつ、
一人一人は欠けたまんまで、
誰かの支えになれたらいいなぁなんて思う一件でした!