手術
彼が手術を受けることを検討している。
パーキンソン病は根本的な治療が確立されていないので、
難病指定されています。
完治するものではないので、
基本的には投薬とリハビリで生活の質を上げる対応なのですが、
薬の副作用が強かったり、
病気の進行とともに薬が効きづらくなった人に対して、
脳に直接刺激を送る電極を埋め込む手術(DBS:脳深部刺激療法)
という手段があります。
「脳に直接刺激を送る電極を埋め込む。」
すごい響きだ・・・。
正直怯みます・・・。
彼はずっと主治医の先生からこの手術を勧められてきました。
でも、彼はあまり乗り気ではなく、
最終手段くらいに思っていたのです。
彼は自分の障害を無くしたいと思っていなくて、
この障害とどう生きていくかをずっと考えていました。
手術をしたらといって完治するわけではないので、
引き続き投薬などは続けないといけないのですが、
彼の中で手術で症状を緩和することは、
「普通に近づくための手段」のように捉えられていました。
ただ、最近になって一転、「手術を受けてみようか」という話に。
彼の中では突然ではなく、色々考え続けた結果らしいのですが、
手術して症状が安定したら、
もっとできる仕事の幅も広がるかもしれないし、
安心して出かけることができるようになるかもしれないと。
「普通に近づく」とか「障害をなくす」ためではなく、
「自分のやりたいことができるようにする」ために。
最初に聞いた時はとても驚きました。
驚きの次に、急激に不安が込み上げてきました。
これまでの生活が一変してしまう可能性を孕んだ決断なので、
今を失うのが怖かったのだと思います。
でも実際に手術を受ける本人である彼が、
考えた結果、意を決して受けてみようと伝えてくれたのだから、
それは尊重しなければならない。
急激に込み上げた不安が急激に消えていって、
もっとその手術について知りたいと思うに至りました。
かかりつけの病院では手術ができないので、
大きな病院に紹介状を書いてもらって、
まずは説明を受けにいくことになります。
もちろん彼のお母さんも一緒に聴きに行きたいはずです。
でもきっと今後、彼と一緒に過ごす時間が長いのは私になる。
「私も一緒に説明を聞きたいな〜」と彼に伝えたら、
その話をお母さんにもしてくれたらしく、
「だったらパートナーと二人で話聞いてきなよ」と言ってくれたらしいのです。
お母さんもこれまでは自分がなんとかしなきゃと思っていたけれど、
パートナーがいてくれると思ったら、気持ちが楽になったと。
なんだか嬉しい。
私は彼のお母さんには会ったこともないし、
私については彼の話を通してしか知られていない。
だからきっと私を信じてくれたということではないかもしれない。
けれど、自分で考えて生きていこうとする息子と、
その息子が一緒にいることを選んだパートナーを、
信じて委ねてくれたんだなと思ったら、とても嬉しくなった。
手術の説明を受けるなんてこれまでの人生で一度もなかったから、
正直不安だしドキドキする。
でも、彼の人生に大きな影響を与える決断であるならば、
それは私にとっても大きな影響を与える決断なのだ。
実際に手術を受けるかどうかは、
話を聞いて、テスト入院をして、
手術の効果があると確認ができてからになるので、
まだどうなるかはわからない。
でもまずは話を聞くところから!
まだコロナで落ち着かない時期ではありますが、
近々話を聞きにいって来ようと思います。
良い変化であっても変化自体が苦手な私だけど、
希望の見える方向には、進んでいきたいからね。