9.11テロに思うこと
9.11。
世界を揺さぶったあの事件から、20年も経ったんですね。
当時アメリカンスクールに通っていた私にとっては、
全く他人事ではありませんでした。
最初のうちはテロであるかどうかもわかっていなかったですが、
2機目が突っ込んで、
これは明らかにおかしいとなった時、
そしてタワーが崩壊した瞬間、
なんとも言えない不安と恐怖と無力感を抱いたのを覚えています。
私が住んでいたのはアメリカではなくヨーロッパでしたが、
学校が「アメリカン」スクールであるということで、
通常よりも警備が強化され、
自分達の身にもいつ危険が迫ってもおかしくない、
異常な事態であること、
自分も戦争の最中にいるように感じていました。
結果的に私の学校が攻撃されることはありませんでしたし、
もっともっと前戦で本当に戦っていた人はいたことでしょう。
私は守られ、平穏な生活を送っていたと思います。
それでも、9.11が私に大きなインパクトをもたらしたのは
紛れもない事実だと思っています。
その後、高校生で進路に悩んでいた時、
イギリスのアート系大学に進学したいと思っていた時期がありました。
夏休みを利用してロンドンのアートプログラムに参加すべく、
1ヶ月間ホームステイしながら学校に通うことにした私。
親から離れてのロンドンでの生活は、
めちゃくちゃ楽しくて、
美術館巡りをしたり、友達とパーティーに行ったり、
まさに青春!と言うくらい遊んでいたのですが、
ある日突然事件は起きました。
そうです、ロンドンの同時多発テロです。
ある日学校で授業を受けていたら、
大変なことが起こっていると連絡が入りました。
ロンドンの地下鉄やバスが爆破されて大混乱していると。
早々に授業を終えて、帰宅するように言われましたが、
帰宅しろと言われても街は大混乱の最中。
電車も止まっているし、うかうかバスにも乗れない。
普段は30分くらいで帰れる道を、
2時間以上かけて、歩いて帰ったのを覚えています。
私以外にも同じような状況の人がたくさんいたので、
妙な連帯感があり、孤独感や恐怖みたいなものは
そこまで感じなかったように思います。
しかし、ついにここまで身近に来たかと思ったのも事実。
結局この事件もアルカイダ関連であると報道され、
容疑者の多くがアラブ系のイスラム過激派であるとわかりました。
翌日以降も学校は任意参加でも通常通り開講され、
私も結局翌日から通うことにしたのですが、
流石に電車に乗る時は気が気ではありませんでした。
もちろん全てのムスリムの方が
過激派のテロリストではないことを私は知っていましたが、
中東系の人が電車に乗ってくるたびに、
この人がテロリストだったらどうしようと考えてしまい、
自分の中に確かに「偏見」が生まれるのを感じました。
でもそれを「偏見」として割り切ることも
当時は難しかったように思います。
自分を守るために、警戒せざるを得なかったのです。
結果的に私は実害を受けることなく、
無事家に帰れて、今もこうして生きています。
でも、当時の状況では、
いつ自分がテロに巻き込まれてもおかしく無いという感覚があり、
なぜテロが起きるのか、
宗教・信仰とはなんなのか、
なぜ人は争うのかを、
考えざるを得ない環境だったように思います。
その延長線上で、「教育」の重要性を感じ、
大学では一転して、教育の道を目指すことになりました。
私は随分と平和ボケしたなと思っています。
海外に住んでいた頃は、ある意味常にサバイバル。
スリの危険は日常でしたし、
テロだって他人事ではありませんでした。
日本にいて、今はコロナの脅威はありつつも、
突然電車が爆発するかもしれない不安は、
ここ数年感じたことはありません。
そんな不安を抱かずに済んでいることが恵まれているな、
ありがたいことだなと感じつつも、
ある日突然、そのような事件に巻き込まれて
自分、そして家族の命が奪われることは、
ありえない話では無いと言うことを
9.11の特番などを見ながら改めて思うのです。
多様性を認めようとか、
差別や偏見をなくそうと言うことは簡単。
それでも多様性を受け入れて自分と全く異なる人と共存したり、
差別や偏見をしなくて済むような環境を作ることは、
全然簡単なことじゃありません。
平和ボケしてるし、今は教育の現場からも遠のいている私ですが、
やっぱりこれは自分の中の大きなテーマとして
心の中に残っていることを思い出します。
その第一歩であり、永遠の課題として、
家族やパートナー、職場の同僚などの身近な他人との共存、
互いを尊重し、受け入れ、共に生きることについて
諦めずに考え続けたい。
「理解できない!信じられない!ありえない!」
という気持ちはきっとお互い様。
理解しようとするのか、否定はせずに距離を取るのか、
きっとそれぞれの解があると思いますが、
大事なパートナー一人とも尊重しあえないなら、
きっと世界とは向き合えないですからね!(?)
この気持ち、忘れないよう、記録しておきます。