穴があったら踊りたい

おさかなさんと彼の平凡で特別な日々です。そんな日々をドキュメンタリー映像にしようと目論んでいます。

カッコ悪いってなんだ?

今日のお昼頃のこと。

何やら悩んでいる彼。

 

「何が言いたいかわかってないから、

 とりあえず聞いてほしいんだけどさ〜」

 

どうやら友達のやっている活動について感想を求められた時に、

彼の発言が微妙な空気を漂わせてしまったとのこと。

 

彼は自分の意見が受け止めてもらえなかったことが不服らしく、

自分の意見はおかしかったのか?

一体何がこんなにモヤモヤするのか?

言語化してみたかった模様。

 

最初のうちは、

自分の持論を自信ありげに私に聞かせて見せた。

 

「僕はこう思うんだけど、友達に受け止めてもらえなくてさ〜」

「感想を聞かれたから言ったのに、すぐ話題変えられちゃって・・」

 

そうかそうかと聞く。

ある程度彼の持論を述べた後、彼に問われた。

 

彼「ダイバーシティをテーマにしてるらしいのに、

  自分にとって都合の悪い意見はスルーするのってどうなんだろう?」

 

私、答える。

 

お「都合の悪い意見を積極的に攻撃し始めたらどうかと思うけど、

  ある程度違う意見の人をスルーして棲み分けをするのは

  ダイバーシティとか共生という文脈ではありなのでは?」

 

彼「そうかー・・・。」

 

しばらく考え込む彼。

 

彼「もしかしたら僕は、家系ラーメンのお店に、

  健康に悪いから油少なめにした方が売れるんじゃない?

  っていう的外れなアドバイスと同じようなことを

  友達にしてしまったのかもしれない・・。」

 

さっきまではどちらかというと、

友達に受け入れてもらえなかったことを不服に思っていた彼が、

いかに自分が嫌な奴になってしまっていたかについて、

大反省モードに入り始める。

 

きっと友達が求めていた感想は

「このラーメン好き!」とか「嫌い!」

とかそういうものだったのに、

「どういう客層狙ってるの?

 油多めで僕は嫌じゃないけど、あんまり一般受けしないかもね。」

みたいに勝手に上からコンサルみたいなことをしてしまったと。

 

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ラーメン評論をし始めた彼を遠巻きに見守るおさかなさんおさかなさん

 

そしてある時点で彼が認めたくなさそうに言う。

 

彼「多分、僕は嫉妬しているんだと思う。

  友達の活動してるメンバーの中に僕がいないことが

  寂しいというか、そう思ってるのかも。

  でもそれを言うのは悔しいから、

  無意識に距離を置いて客観的な意見を言ってしまったのかも。」

 

 

あーそういうこと、あるよな。と思った。

 

 

羨ましいなと思ってることから、

無意識に心理的距離を取ろうとして、

妙な立場から批判したり、興味ないふりしたりすること。

 

しかもそういうのって、

なぜだか相手にもしっかり伝わっちゃうんだよね。

今回、空気が微妙になったのも、

きっとこういう誤魔化しが相手に伝わっちゃったからかも?

 

彼は自分の気持ちや欲求にとても素直で、

「好き」とか「美味しい」とか「寂しい」とか「会いたい」とか

そういう表現がとてもまっすぐで驚くほど上手だ。

一方私はそういうのを表現するのが恥ずかしくて苦手だったので、

彼のことを見習って表現する練習をしてきている。

 

しかし、「嫉妬」「悲しみ」などの、

彼が描く「理想の彼像」の中になるべく存在してほしくない感情について、

彼は無意識に押さえ込みがちなところがある。

一方私はそういう感情に敏感で、

自分ですぐに気づいて表現もできたりする。

 

今回は彼の中にある「嫉妬」や「羨ましい」という気持ちを

もっと真っ直ぐ友達に伝えていたら、きっと空気は違っていただろうな。

「楽しそうで羨ましいな!」とか「たまには仲間に入れてよ!」だったら

謎の上からアドバイスされるよりよほど受け入れやすいし、

彼だからこそ言える言葉になったかもしれない。

 

彼は「嫉妬」したりするのはカッコ悪いと思っている。

だからなるべくそれは自分の中にはないことにしたい。

でもどこかで

「本当はある嫉妬心を隠している自分」の方が

余程カッコ悪いんじゃないかとも思っている。

 

自分の中にある都合の悪い感情は、

なるべくなかったことにしたいのが人間の性かもしれない。

でもどんなに無くそうとしても、

感情は理屈じゃないから、生じた時点で消すことはできない。

感情とどう向き合って生きていくかは、

人それぞれスタンスが違うと思うけれど、

私は自分の中にある感情は、なるべくそのまま受け止めたい。

それは時に痛みを伴うし、

たまにメンタルの許容範囲外になってできない時もあるけど、

抑圧された感情が、

ねじれた形で自分や自分の大事な人を傷つけるのは、嫌だからな。

彼と私で受け止めやすい感情と、

受け止めづらい感情が違うので、

お互いに学び合えたらいいのかも?と思ったのでした。

それぞれの「カッコいい」にちょっとでも近づけるようにね。