穴があったら踊りたい

おさかなさんと彼の平凡で特別な日々です。そんな日々をドキュメンタリー映像にしようと目論んでいます。

私はいつだって自由だ

なんだかよくわからないけど、すっきりしている。

 

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ここ1ヶ月くらい、毎晩もれなく彼と過ごしていた。

昼は別々に仕事をして、夜は一緒にご飯を食べて、一緒に眠る。

彼と一緒に過ごす時間は、

衝突も多いけれど、とても楽しくて、安心感もある。

だから毎日一緒にいられることが純粋に嬉しかった。

 

一緒にいても、それぞれの時間を大事にしようと話し合って、

一緒にやりたいことがある場合は予め予約をしたり、

一人に予定がある時、

もう一人は別のことをして過ごすことも多かった。

今後の同棲生活を考えても、

お互いがお互いの時間の使い方を

尊重できるようにならないといけないなと思っていたのだ。

 

なかなか順調であったと思う。

事前予約制をとりはじめてから、

私は過度に寂しがることも不安になることも無くなったし、

彼は彼である程度好きなように自分の時間を過ごせていた。

二人とも「声を出す予定」が重なる時は少し大変だけれど、

それは引っ越して部屋が別れられたら解決すると思っている。

 

でも私の問題は、

もう少し根本的なところにあったように思う。

 

私は良くも悪くも周囲の環境に影響を受けやすい。

近くにいる人が今何を求めているか、

常に無意識に察知しようとしてしまうのだ。

無口で不機嫌な人が近くにいると、

何を求められているかを察するのに急激に体力を消耗したり、

不特定多数の人の中に入ると、

いろんな立場の人のいろんなニーズを受け止めようとしすぎて、

キャパオーバーになったりする。

 

これは意識してやっているわけではないので、

意識してやめるのもなかなか難しい。

そして相手が自分に近ければ近いほど、

その感覚も鋭くなるし、

察知した結果、何も言われなくても

相手が求めているであろうことを、

提供しようとしてしまうのだ。

 

急激なストレスでキャパオーバーになったりしない限り、

私は自分のこの傾向を「苦」だとは思っていない。

逆にそれで相手の笑顔が見られるなら儲け物だとすら思う。

もちろん察知したものが間違っていることもあるし、

考えなくていいことであることも多いのだけれど、

かなりの確率で場を快適におさめられるのも事実なのだ。

 

特に相手が自分にとって重要で、大事な人間であれば、

それこそ苦ではない。

私は彼が求めていることをなるべく察知して、

無意識に提供しようとしていたと思う。

もちろん彼にそうしてくれと頼まれたわけではないので、

私が勝手にやっているだけのことだ。

しかもほぼ無意識に。 

 

決して苦ではなかった。

彼の笑顔を見られるなのほうがよかった。

でも、

自分でも気づかぬうちに、

少しずつ少しずつ、

自分が消えてしまっていたように思う。

 

相手のことを意識するあまり、

自分の主張がわからなくなっていた。

相手の希望が私の希望と重なることも多かったけれど、

時に自分の希望を自分が気づくよりも早く、

押さえ込む形にはなっていたのは事実だと思う。

それは彼にとっても不本意なことでもあるはずなのに、

勝手に私は自分で自分を押さえ込んでしまっていた。

 

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今日は久々に彼と過ごさない夜。

「今夜は会わない」と決めるのはとても怖くて不安だった。

1ヶ月ほど、毎晩そこにいた人が、今日はいない。

それだけで涙が出るほど怖かった。

だけど今日は、あえて会わないことを選択した。

寂しくなったらどうしよう。怖い。ハグできない。やだ。

でも、今日は、会わない方がいい気がしたのだ。

 

不思議だ。

さっきまであんなにも不安と寂しさでいっぱいだったのに、

一度「会わない」と決めたら、なんだかやけにすっきりしている。

今日この後の時間、私は何をしても自由。

何時にご飯を食べても、カフェに寄り道しても、

夜ふらっと散歩しても、途中でスーパーに寄っても、

どんなテレビ番組をみても、どんなタイミングでお菓子を食べても、

私は自由なんだ。

 

いや、違う。

本当は元々私はいつだって自由だったはずだ。

彼と一緒にいようが、いまいが、

私には主張し、選択する権利がいつだってあったはずだ。

それを勝手に奪っていたのは自分自身だった。

この驚きの開放感で、私はやっと気がついた。

私の中の「あれしたい!」「これしたい!」が、

無意識のうちにすっかり抑圧されていたことを。

 

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一皮向けたおさかなさん(?)

 

距離感って難しい。

私の場合は自他の境界線が曖昧になりやすい傾向がある。

ずっと一緒にいたいけれど、一緒にいすぎても自分が保てない。

そんなの本当は、嫌なんだ。

 

一緒にいても自分が保てるようにするためには、

私は自分が無意識にしていることを、

意識化していく必要があるのだろう。

そして「自分はどうしたい」のか、問いつづけよう。

正直とても難しい作業だ。

けど、一緒にいるためにも、このハードルを越えたいと思う。

この課題について後日また一緒にお話ししたい旨、

彼のスケジュールを予約済なおさかなさんなのでありました。