穴があったら踊りたい

おさかなさんと彼の平凡で特別な日々です。そんな日々をドキュメンタリー映像にしようと目論んでいます。

自分一人では無理でも、ハンバーガーは食べられる

家から徒歩15分。

その日は彼も体調が良さそうだったので、

話をしながら散歩がてらお気に入りのハンバーガー屋さんへ!

お店は昔ながらの商店街の中にあって、

やけにアメリカンなそのお店は若干浮いている感じ笑

デリバリーでは何度もお世話になっていますが、

実店舗は初めてだったので、車椅子で入れるかなぁ?とか、

コロナも流行っているし混んでいたら嫌だなぁと思いつつ、

お店に入ってみると、

 

 

 

誰もいない笑

 

 

 

まさかの貸し切りでした笑

デリバリーの注文は何個か入っていたみたいですが、

お店にはだれもいなくてラッキー!

さらに、入り口も段差はなくバリアフリーで一安心。

と思いきや、さっきまで元気そうだった彼が、

ハンバーガーの注文をしている間に

みるみる元気がなくなっていっているではないですか😱

 

彼はパーキンソン病の症状で、

緊張したり、ストレスを感じると、

薬が効いている時でも一気に震えが強くなったり、

体があからさまにこわばったりすることがあります。

心の中の不安や動揺が体に直で表現されるので、

ある意味とてもわかりやすいのです笑

注文をする時など、店員さんと話すタイミングは、

彼がよく緊張するシチュエーションの一つ。

今日も店員さんと話している間は、

体がこわばってるのかなぁなんて思っていました。

 

しかし、注文が終わり、二人で席に着いてからも、

どんどんこわばりが強くなっているではありませんか😇

こうなるともう「寝る」か、「薬を貼り替える」かしないと、

戻らないことが多いのです。

これからハンバーガーを食べるというタイミングで、

こうなってしまうと、おそらく自分で食べるのは厳しい状況><

 

普段、薬の効きがイマイチで体が動かしづらい時は、

家で食べることがほとんどなので、

出先でこれだけ急激に体が強張ることはあまりありません。

彼もこれからご飯というタイミングでどんどん動けなくなり、

その事実がさらに不安を招き状況を悪化させている様子💦

なんとか少しでも寝て回復しようとしますが、

お店で流れていたハイテンションでアメリカンな

ミュージカル映画の音がうるさくて眠れない模様・・😅

そして体調が回復しないまま、ハンバーガーが出てきました。

 

 

 

 

あぁ・・めちゃでかい😇

 

 

 

そうなんです。

ここのハンバーガーはアメリカンサイズ。

めちゃくちゃでかいのです。

バンズに挟まっている具が何層にもなっていて、

元気な私ですら、上手に食べるのは至難の技という代物・・・!

 

 

私「隣、いこうか?」

彼「うん、手伝ってほしいかも〜」

 

 

家で調子が悪いときに食事を手伝うことはたまにありますが、

出先で食事を手伝うことはあまりありません。

飛沫感染防止のパーテーションをどかし、彼の隣に座り、

自分でも上手に食べられなさそうな巨大ハンバーガーを、

出先で彼に食べてもらうという難関にチャレンジです🍔

 

そのままでは口に入らないので、

とにかく圧をかけて口に入るサイズにおさえていきます。

そしてある程度潰れたら、食べる部分の包み紙をめくって、

彼の口に運んでみると、意外とうまくいきまして、

スムーズに食べてもらえました!👏

彼からも食べさせ方が上手いとお墨付きをいただきました笑

そこから彼に食べてもらう→自分で食べる→彼に食べてもらう

→自分で食べるを繰り返し、なんとか二人とも完食!

難易度の高い食べ物を出先で食べさせるという状況は、

初めてに近かったですが、無事乗り越えられました。

 

帰りにスーパーに寄る予定だったのですが、

この調子だと難しそうだったので直帰しようかと話していたところ、

お店を出た途端、彼の調子がよくなり始めたのです。

よくよく話を聞いてみると、

お店に着くちょっと前くらいから、

「あの大きなハンバーガーを自分で食べられるのか?」

「車椅子でお店に入れなかったらどうしよう?」

という不安がでてきてしまったらしく、

お店に入ってからもミュージカルの音がうるさかったり、

アメリカンでごちゃごちゃした内装が、

気になってしまって緊張が強まってしまったらしいのです。

お店を出て、それらの不安から一気に解き放たれ、

体の強張りもマシになっていたので、

そのままスーパーに寄って帰ることができました!

 

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ハンバーガーのでかさにびびるおさかなさんと彼

 

彼はもともとヘルパーさんの制度を利用することにも

抵抗があると言っていたくらい、

誰かに生活を手伝ってもらうことは、

カッコ悪いことだと思っていたそうです。

それがここ数年で、

誰かに助けてもらうことはカッコ悪いことじゃない。

誰かの助けでできるようになることがあるならその方がいいし、

自分の弱い部分を誰かに見せられることは、

逆にかっこいいことかもしれないとまで思うようになったよう。

きっと人前で食事を手伝ってもらうことって、

私たちが想像しているよりも自尊心を削ぐものだと思うのです。

それでもその状況を避けるために人目を避けて暮らすよりも、

一緒に外に出かけて、自分で食べられない時も、

苦戦しつつも二人でハンバーガーを一緒に食べられて、

彼が嫌でなければ、その方が私は嬉しいなぁと思ったりします。

 

私には彼にはできないことができます。

それと同じように、彼には私にできないことができます。

お互いに必要なときに隣にいられたら、

一人ではできないことが、二人ならできるようになる。

ハラハラするハンバーガータイムでもありましたが、

そんなことを改めて実感する出来事でした。

これからも一人でできないからと諦めてしまわず、

一緒にできることを増やして、探していきたいと思った

おさかなさんでありました😄